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最近は、女性が強くなったとか言われている。
確かに、社会進出する割合も増えてきたらしいし、現に…
クラスの女子の立場が男子より、圧倒的に上だ。
もう少し、男性も強くなるべきではないかと思う。
別に、明治時代の男尊女卑の考えを肯定するわけではないが、
ただ、女性が男性を頼るという極々自然な流れをここ日本でも作って欲しいとも思うからである。
今では、優柔不断な男達は皆、ヘタレと呼ばれ、馬鹿にされているが…
一応、俺もヘタレの部類か!?
なんか少し、嫌な気がするが…。


しすこんっ
第壱話:色彩−しきさい。−


「お兄ちゃん!起きて!!」
布団が、一気に捲られる。
「何だ??メイか???」
そう言って、俺は布団をもう一度深く被る。
「私は、メイじゃな〜〜〜い!!しかもこれは、サイバー系彼女じゃな〜〜〜〜い。」
「オレンジジュース、スクリュードライバー…バーー。」
「ぶち殺すぞ!…まぢで。」
「メイ、グレるな。」
バシ!バキ!!
ということで、冗談はおしまいにして、
「分かりました。森野和志、起きます。」
「よろしい。」
んで、仕方なく起きる俺(森野和志)。
寝惚けた状態で、洗面所へレッツ・ゴー!
何度、階段から落ちそうになったことか…。
妹の五月(さつき)が受け止めなければ、今ごろ打撲が出来ていただろう…。
あーーー、怖い。

顔を洗い、髪を整えれば、いつもの俺に変身??する。
「お兄ちゃん!ご飯だよーー。」
「おいーーーっすぅ。」
でも、まだ声は変わってないみたいだ。(んまぁ、寝起きの低いような)
腹も減り(早ー!)、少し急ぎ足で食卓に向うといい匂いが…。
って、トイレの芳香剤じゃんよ。
しかもレモンだ…。清清しい匂いだ。はは…。
注意:食卓の隣はトイレです。
気を取り直して、テーブルを見るとそこには、豪華な飾りつけと赤絨毯が…
ありません。(ってか、あるわけないでしょ。聖O女学院でもあるまいし。ましてや厳鳥さんでもあるまいし。)
まぁ、平凡!?な家庭なもので…。
でも、両親は1年前から海外(ニューヨーク)で研究を始めている。
よって、家には口うるさい親はいない。
ただしその代わりの妹がいる。
本当に結構うるさい。
あれしろ、こーしろ、早く起きろだの…。

「お兄ちゃん、食べないの?フレンチトースト。」
フレンチトーストというと、何か洒落たものな気がするが、家ではただパンを焼いたに等しいものである。
「食うよ。朝食わなかったら死ぬっしょ。まじで。」
かりっ!!さくっ!!いやーーやっぱり朝は、パンですなぁ〜〜@
ぽわーーーん…。空想が広がる。
まぁ、寝起きなんてこんなもんでしょ。
ぼぉーーーと、してしまう…。
……なんか眠いなぁ、時間も気になるし、テレビでも…
「ニューースの時間です。」
あっ、もざましテレビだ。
カヌベさんと飯塚さんが喋ってる。
「川の近くにクマが現れました。…クマは、ツキノワグマで体長は約2メートル。
発見した男性は、すぐに110番通報しました。男性に怪我はありませんでした。…」
「二つ目のニュースです。ニューヨークで、大規模な火災が発生。…」
ん??ニューヨーク??
父さんと母さんの研究施設大丈夫かなぁ??
「おい、五月。ニューヨークの火災のニュースって知ってか?」
「うんうん」
五月は、首を横に振った。
なんとなく、胸騒ぎはしなくもなくもない?(結局しなかった)ので、思考停止命令を脳に発令した。

「学校。学校。」
フレンチトーストを食べ終え、部屋に戻った。
「用意。用意。」
時間割を見ると、数学Bが…
俺、全然数学わかりましぇ〜〜ん。
ちなみに前回の前期考査は、
現代国語→49点 古典→92点
数学U→24点  数学B→6点
英語U→47点  文法→43点
生物→36点   地学→37点
倫理→41点   世界史B→46点
家庭→38点   保健→83点
学年272人中266番
古典と保健のお陰で、最下位は免れました。よっしゃーーーー!!
でも補習は、5教科でした。終わってます。
んで、夏休みはほとんど潰れました。
これ、かなりまじです。(いやーー、大変)確か、何も無かったのが3日?
一応いっておくと、俺がいる私立の学校は偏差値56と少し高め?ということもあり…。
極々平凡の俺には厳しすぎたんだろうなぁ、きっと…。
(ただ、勉強してないだけです。はい。)
でもまぁ、それでも昔は成績は結構よかったんだぞ。
280人中33番とか、278人中30番とか。
人数が減ってるのは、中退+留年のせいです。
頑張れ、留年者。ちなみに去年俺は、ギリギリセーフでした。
赤点は、たったの3教科だったし。
勿論、数学は入っています。
後、化学。→13点で死亡確認済み。
ということで、今年留年の可能性は、50%?
でも、まぁ、頑張れば大丈夫!
よって、今のままだと危険。大学は、まず無理でしょうな。

時間割を見ながら奮闘?し、用意を済ませると、時計の針はもう8時22分を回っていた。
はい、遅刻!!決定♪!!!
でも、いつものことだから、安心ねぇ〜〜♪
ここから、学校まで歩いて10分。
走って、15分。
走って15分なのは、1分走ると息切れを起こして3分道端に座らないといけないから。
簡単にいってしまえば、異常なまでの運動不足です。
今年の体力測定の持久走は、9分41秒。
1位からおよそ5分差。
まぁ、それでも俺の中ではいい記録。
だって、初めて10分切ったからね。
(今までの最高記録は、10分01秒。)
この持久走が学年最下位であることは、言うまでもなさそうだ。
ということで、ゆっくり歩こう!

ドアを開けると、そこは…
ただの道路だぁぁぁぁぁーーーー!!
別に、ファンタジー的な物語にはしないつもりですから。
例えば、どこまでも蒼い空が広がり、妖精達が飛んでいるような見たこともない世界だった。
みたいな??

んで結局、10分っていっておきながら15分以上かかってるんですけど…
もう8時40分。
よーやく、クラス到着。
当然、ホームルームは終わってます。
45分授業開始だし…ね。
「おう!和志!!」
「おう!村田。」
「いや、俺は村山。ようへいじゃないからな。」
「あれ??」
「瞬(しゅん)な。」
「あぁ〜〜わぁ〜〜ってるよ。」
俺は、ようへいと先に言えず、がっかり。
え〜〜と、村山瞬は俺の達。
勉強の面では、ライバル。
確か、あいつ前回263番。俺、敗北。
ちなみに、スポーツでは歯が立ちません。
などと空想世界に浸っていると声が…、カニ…いや、秋刀魚の?…。
「ねぇ?なんでこんなに、つ○きすのギャグが多いの?それに私のどこが秋刀魚?」
「さぁ??庶民的なところじゃねぇ〜〜の?」
「ねぇ?それって喜んでいいの??」
「さぁ??」
まぁ、とりあえずこの話は置いといて…、
「授業が、始まるよ。数学Bだから、ちゃんと用意しないと!あ、森野君おはよう。」
「おはよう。川瀬光(ひかり)さん。」
川瀬さんは、俺と村山とよく話す女の子。
結構、成績もいいらしく、そこそこの大学を狙っている。
「何故に、フルネームなのですか?」
「それは、こちら側の諸事情です。」
などと話しているうちに、

キーンコーンカーンコーン

授業開始のベルが鳴る。
と同時に眠気が襲ってくる…。
睡魔との争いには、呆気なく敗退。
先生が来る前にダウン。
俺の席は、一番前。
いつも、堂々と眠っています。
先生も最近では諦めてくれました。

すやすや。。。
すやすや。。。
ぐーぐー。。。
すやすや。。。

どれくらい眠っただろうか?
10分?20分??
突如、手で肩をぽんってたたかれた。
俺の睡眠を妨害するとは…、許せん!
かといって、逆ギレはさすがにしないけどね。
「おい、森野。…起きろ!森野…………お〜〜い。」
遠くで聞こえる先生の声。
別に美声じゃないので、無視。
「おい、森野。起きろ!!おい、森野!!……校長室に呼び出しだ。」
すやすや…
すや???????
校長室??
「WHAT?」
今、思考回路でのWHAT?の筈が、言葉に出していた。
寝惚けてるせいで、よく分からないのだが。
「今、放送があってな。校長室に”来い”だそうだ。」
何か皆、気の毒そうな顔をしている。
もしかして…、もしかして…、、退学とか??
俺は、万引きとか陵辱とか暴走族とかはやってないぞ。
大丈夫だ。
自分に言い聞かせる。
きっと…。
それでも、やっぱ心臓は高鳴る。
(最近、授業態度悪ぃーからなぁー。提出物は出してないし…。赤点も多かったしなぁ〜〜)
まぁ、そんときはそんときだ。
前向きに…
「じゃあ、ちょっと逝ってきます。」
あれ??行くが逝くになってる。
不吉だ…。

何故だろう??こういう時に限って、あっという間に目的地に着いてしまうのは。
1・2・3(ナース)
いやー、御子御子ナスか??
ガラガラガラ
校長室のドアを開けた。
すると、校長は少し俯いていた。
「申し上げにくいんだがねぇ〜、」
「何ですか?」
もしかして…退学?留年??
「森野君、だったねぇ。」
「え、えぇそうですけど。」
「君のご両親が、火災で亡くなったそうだ。」
「はい??」
「火災で…、亡くなったそうだ…。」
「え??……え??本当ですか??」
「あ、ああ。妹さんの学校から連絡がきて…な。…とりあえず、今日は帰りなさい。」
「は、はい。分かりました。」

俺は、すぐさま教室に戻った。
「先生。あの…早退します。」
「そうか?」
多分、先生は何も知らないんだろう。
「森野君、どうしたの?」
「うん、何でもない。…じゃあな。」
「うん。じゃあね。」
俺は、走った。
走った。
普段は、一分走るだけで息が上がったのに、今日は息が上がらなかった。
でも、俺の家の前まで来ると、一気に呼吸が苦しくなった。
それでもなんとか走りきり、家のドアを少し力強く開けた。
ガチャ!
「お帰り、お兄ちゃん。」
声は、食卓のほうから聞こえてきた。
「ただいま。…はぁ、疲れたぁ…。」
俺は、いつもと同じ口調で五月に聞いた。
「んで、お昼、どうすんの?」
「ん?まだ、決めてない。」
やっぱり、変わらないように振舞っても重い空気である事には変わりなかった。
それに、この状況下ではさすがに食欲はあまり湧かなかった。
予想通りそれから、終始無言になった。

はっきりいうとここ1年、俺と五月は両親の顔を見ていない。
俺は特別、両親が急にいなくなったからって悲しいという感情はそれほど湧いてこなかった。
やはり、それよりも重圧感の方が痛かった。
だから、俺は親不孝者なんだと思った。

ふと時計を見る。
チクタクチクタク…
時計の秒針が動く。すると、チクタクと音がする。
その音が、残酷にも今、BGMと化している。
本当にすごく、寂しい感じがした。
この音が無ければ、どれくらい楽になるんだろう?
分からなかった。
でも、この音が無いなら無いで、見えない重圧に押しつぶされそうな気もする。
何か、魔法にかけられたみたい。悲しみを溶け出す魔法に…。
それが適切な表現?だと思う。
(時計の魔法かぁ…)
それから俺は小一時間ほど、ずっと時計を眺めていた。
いや、というよりかは聞いていた。
止まることなく、動いている時計の…を……。




あとがき

はじめまして&こんちわっ
ギャグのセンスに欠けるところがありすぎ(ってかマニアックすぎ)です。
でもまぁ、ギャグではなくシリアスのジャンルです。
一応、タイトルの通りシスターコンプレックスを題材にした作品だと言う事を覚えておいてください。
構成的な話ですがまだ、何話構成にするかは決定していません。
でも、5話は超えると思います。
最終話はまだまだ先になりそうなので、しばらくお待ちください。


次回予告

両親をともに亡くして、1ヶ月という月日が流れ、
五月も和志もほぼ完全に立ち直る事が出来た。
そして、またいつもの日常が訪れる。
第弐話:はじまり

五月も和志もほぼ完全に立ち直る事が出来、いつもの日常へとまた埋没していく。
そんなある日、森野家に怪しげな科学者が現れる。
しすこんっ―Blood Memories―
プロローグ:はじまり


【小説の部屋に戻りたいですっ…】