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私は、天使。
天界では、天界と地上を結ぶ結界を見張っているの。
その結界は、そう簡単に掻い潜ることなんてできない。
でもね、ある時、その結界を超えてしまった悪魔がいたの。
悪魔達は、世界を支配するがために、天使を殺そうとしている。
その結界を超えた悪魔は、とてつもなく強かった。
凄い波動を出して、天使達の多くは、死んでしまった。
私は、どうするか迷った…。
闘っても、勝てる可能性なんて万に一つもないから。
そして、それより、地上界に逃げて時を待った方がいいということが分かったわ。
だから、私は地上界へ逃げたの。
ただし、地上界に出るときに条件があって、猫にならなければいけない。
私は猫になったわ。
そして今、地上にいるの。
ただ、落ちた衝撃で怪我をしてしまった…。



Angel Cats〜明日の空へ
第壱話:天使を拾った俺?



俺は、落ち込んでいた。
今日、一年間付き合っていた彼女にふられた。
はっきりいって、今でも好きだ。
忘れられない…。
彼女の残像ばかりが、頭をよぎる。

夏に行った、海。
そこで、彼女は水着になって…キスをした。
彼女との初めてのキスは、少し戸惑ったけど嬉しかった。
秋には、忙しくてあまり会えなかったけどよく電話をした…。
クリスマスには、絶対会おうねって約束した。
冬のクリスマス。
彼女と初めて過ごした夜…。
忘れられない思い出になった。
そして、春__。
付き合って一年。
彼女の一言で、俺達は別れた。

俺は、少しばかり暗い夜道を一人歩いていた。
目には、堪えきれず涙が流れている。
(はぁーー。)
溜め息ばかりが、幾度も漏れる。
何分歩いたのか?
俺の帰り道のあの通りにやって来た。
彼女と歩いたあの通りに…。
(彼女と手を繋いで歩いたっけ。)

ニャーーーオ、
ニャーーーオ。

感傷に浸っていた時、何処からともなく猫の鳴き声が聞こえた。
その鳴き声は、少し寂しいように聞こえた。
元々、猫が好きだった俺は、鳴き声のする方へと歩いた。
すると、すぐにその猫を見つけた。
見ると、その猫は怪我をしていた。

「大丈夫、かい?」
「ニャーーーオ。」
「猫が、喋れるわけないよな。…よし、連れて帰るか。」

そのまま、俺はその猫を連れて帰った。

「ただいま。」

俺は、いつも一人ではなんとも感じなかったが、さすがに今日は辛かった。
それでも、猫という存在が少しはその気持ちを和らげてくれていた。

「え〜〜と、どうするかな?」

俺は小さい頃、猫を飼っていた。
猫の名前は、パール。
由来は、白くて真珠のように見えたから…。
だったと思う。
俺がつけたわけではなかったが。
そういえば、今日拾ってきた猫も白い。
パールにしよう。

「よし、お前の名前は、パールだ。…よろしくな。…っと、その前に手当てをしないとな。」

昔、猫を飼っていたこともあり、思ったよりはスムーズに手当てが出来た。
多分、2、3日すればよくなるだろう。

「お前、お腹すいてないか?」

怪我をしていて、動けなかった様子から、何も食べていないんじゃないかと思った。
残念ながら、キャットフードなどはない。
牛乳もない。
とはいっても、何か買いに出かけられるほど元気もない。
もし、でかけたら、その間に彼女のことを思い出してしまうだろうから。

「そうだ、昨日のお昼のチャーハンの残りをあげよう。」

今日の夜、俺がチャーハンを食べようと思ってとっておいだが、食欲もなく食べられなさそうだ。
それよりも、パールに食べてもらったほうがいいだろう。
さすがに、明日になると悪くなってしまうかもしれないし。
それに、パールが食べているところを見ると、元気になりそうな気がしたし。

「ちょっと待ってな。」

俺は、冷蔵庫からチャーハンを取り出した。
…レンジでチン。
10秒ほどして、パールが食べることを思い出し、取り消した。

(猫の食べ物は、暖かくしないほうがいいよな。猫舌だし…)

幸い、まだ冷たかった。

「はい、パール。チャーハンだよ。」

パールは、恐る恐るチャーハンを口にした。
最初は、恐る恐るだったが、徐々に慣れてきたようで、ガツガツと食べた。

「お腹、すいてんたんだな。」

4、5分で、パールはチャーハンを完食した。

「随分、食ったな、お前。」

俺が夕食に取っておいたチャーハン全部を平らげた。
俺が食べて丁度位の量だったのに。
その後、すぐパールは寝た。

「猫は、気ままでいいよな。」

パールがすやすやと寝息をたてて寝ているのを見て思った。

(やっぱり、猫は可愛いな。…まぁ、俺も寝るか。)

俺は、ベッドに横になり、目を閉じた。
目を閉じると、彼女の笑顔が映った。

だから、眠れなかった。

そして、その夜は更けていった。



あとがき

『Angel Cats〜明日の空へ』
動物系が出てくる作品は、今まで書いた事ないですね。
自分、動物が嫌いなものですから。
はっきりいって、猫は触れません。(笑
んまぁ、それは置いといて、
次回作の公開は、けっこう先になると思います。


【小説の部屋に戻りたいわけで…】